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事業承継で税理士に求められるものとは?詳しく解説!

高齢化が進む日本では、経営者にとって事業承継が大きな問題になっています。

そして税理士は経営者にとって身近な存在として、事業承継の相談を受けることがあります。

では、税理士は事業承継についてどのような仕事をし、どのような知識が必要なのでしょうか。

この記事で詳しく解説しています。

税理士による事業承継

まず、事業承継と税理士とは何かについて見てみましょう。

事業承継とは

事業承継とは、事業を後継者に承継させることです。

近年、事業承継を希望する中小企業が増えていますが、事業承継は経営者だけで簡単にできるものではありません。

中小企業の中には後継者問題に悩む企業も多く、本当に事業承継をしたくても簡単にはできないケースも少なくありません。

事業を承継する際には、会社法・金融商品取引法などの法律に抵触しないような手続きを取る必要があります。

しかし、経営者自身が専門的な法律の知識を持っていることは少ないため、専門家に助けを求めるのが一般的です。

中小企業は、会計や税務に関する相談相手として、税理士を身近に感じていることが多いので事業承継についても税理士に相談するケースが多いと言えます。

税理士とは

税理士は、税務代理・税務申告・税務相談などを行う専門家です。

中小企業の経理代行を行うことが多いため、中小企業の経営者と税理士の関係は密接になりやすく、税理士が財務だけでなく経営面の相談を担当するケースが多くあります。

そのため税理士は、事業承継に関する相談を受けることが多いです。

税理士は事業承継に関連する税務書類の作成サービスを提供するだけでなく、事業承継サービスを提供するケースも少なくありません。

事業承継士とは。

事業承継士は、中小企業の事業承継問題を支援する専門家であり、事業承継に関する専門的な知識を有しています。

事業承継士と税理士の主な違いは、専門性の高い分野です。

税理士が事業承継に関する税務を専門とするのに対し、事業承継者は税務を含む事業承継全般を専門としています。

税理士と事業承継士のダブルライセンス

事業承継士の資格は、主に税理士や弁護士などの国家資格保有者が取得できるものです。

事業承継士の資格取得の勉強を通じて、税務以外の事業承継に関する実践的な知識を学べるだけでなく、他の専門家とのネットワークができるメリットもあります。

事業承継士のプロライセンスを取得することで、大きな相乗効果が期待できます。

税理士と事業承継士のダブルライセンスを取得することで、事業承継の専門家であることをクライアントに証明することができます。

また税理士と事業承継士のダブルライセンスを取得することで、他の税理士と差別化を図り、事業承継に特化した業務を行うことができます。

事業承継についてのサービス

事業承継業務は承継の方法によって異なります。

財務や税務のアドバイス、親族間の調整など、幅広い業務を検討することが想定されます。

親族内承継

親族内承継では、現経営者が株式を相続人である親族に譲渡します。

方法としては相続・贈与・譲渡が主です。

これらの方法から生じる税務上の手続きは、税理士の主な仕事です。

また税理士が、確定申告の手続きや、株式の評価額に比例して高くなる納税資金の確保、相続後の経営体制の確立など、事業承継に関する総合的なアドバイスを行うケースもある。

親族外承継

親族外承継における税理士の仕事としては、役員・従業員の買収(MBO/EBO)のための会社となるSPC(特別目的会社)の設立や合併などの手続き、財務・税務アドバイスなどがあります。

M&Aを通じた事業承継について

事業承継において後継者が見つからない場合は、M&Aにより外部の個人・企業に事業を譲渡することが増えています。

M&Aにおいては、税理士がM&A税制や節税対策などのアドバイスを提供します。

事業承継の際に税理士に求められること

税務顧問が事業承継に関わる場合、税務に限定した知識やノウハウではなく、周辺知識も含めた総合的な知識を持つことが必要です。

特に事業承継は、個々のケースに応じた最適なプランの策定が必要であり、税務以外の知識も積極的に習得することが望まれます。

事業承継業務に必要な知識

税務・法務

税制面では、自社株の評価が必要であり、実際に自社株を譲渡する際には、所得税・贈与税・相続税の計算が必要となるケースが想定されます。

相続の場合、遺言書の作成など、相続トラブルを回避するための対策がとられるケースもあるでしょう。

承継の対象となる会社に関する知識も必要ですし、法人税や会社法全般の知識も必要です。

また、事業継承の際に適用される相続税などに優遇措置が存在する場合もありますので、最新の知識を身につけておくことが税理士としては必要です。

スキーム

税金だけでなくスキームにも注意が必要です。

実際の事業承継においては、持株会社の設立や株式譲渡、株式交換・株式移転、事業譲渡など、細かいスキームがあります。

経営者の意図や会社の状況に合わせて最適なスキームを選択する必要があるため、それぞれの内容や違いを考慮することが税理士としては重要です。

資金調達

自社株の評価額が高い場合は、後継者が引き継ぐために必要な資金をどのように調達するかも検討する必要があります。

自社株評価額の引き下げや節税などの対策に加え、金融機関からの融資を検討することも税理士としては必要でしょう。

補助金制度

事業承継に伴う資金的な問題については、国や自治体の補助金を活用できるケースもあります。

補助金申請のサポートをするしないに関わらず、制度を利用する機会を逃さないよう、制度や要件について税理士としてはしっかりと理解しておく必要があります。

税理士に事業承継を任せる場合の報酬

事業承継を税理士に委託する場合、依頼する業務の範囲や複雑さによって報酬が異なります。

例えば事業承継税制の申請には、書類単位で手数料がかかるケースが想定されます。

料金体系は、M&A仲介のようなフルサポートを伴う成功報酬型ではなく、タスクごとのフィーが設定されていることが多いと考えられます。

税理士が行う事業承継業務の内容

ここで改めて税理士が提供する税理士が行う事業承継業務の内容について説明します。

税理士が提供する事業承継業務としては、大きく「事業承継支援」と「株式承継支援」の2種類が想定されます。

そのためこの章では、この2種類の業務内容について説明します。

事業承継支援

まずは事業承継の税務面のサポートです。

特に、事業承継税制・企業価値評価算定・デューデリジェンスに関するアドバイスが含まれます。

株式承継支援

税理士は株式承継支援も行っています。

事業承継税制は、株式の承継にも適用されるため、税理士の専門分野となります。

事業承継税制とは、後継者の税負担を軽減するために、一定の要件を満たす後継者に対して、相続した自社株に対する相続税・贈与税の納税を猶予する制度です。

事業承継税制の申請書など、さまざまな書類を作成する必要がありますが、この手続きは税理士に依頼することができます。

事業承継を税理士に相談することのメリット

事業承継を税理士に相談するメリットは何でしょうか?

この章では、事業承継を税理士に相談することで考えられるメリットを解説します。

事業承継を税理士に相談するメリット

事業承継を税理士に相談するメリットは、主に以下の2つです。

  • 税理士からアドバイスを受けられる
  • 専門知識があるからこそできるサポートを受けられる(特に税務)

第一のメリットは、税理士からアドバイスを受けられることです。

前述したように、税理士は中小企業の経理を代行するため、財務だけでなく、経営に関する相談を受けた経験も多いのです。

事業承継の問題は、経営者がまずは顧問税理士に相談しやすいと考えられています。

また、税理士に相談すれば、その税理士と関係のある専門家やM&A仲介業者を紹介される場合も想定されます。

  • 専門的な知識によるサポートを得ることができる

2つ目のメリットは、専門的な知識によるサポートが受けられることです。

税理士の中には、多くの事業承継案件に携わり、専門知識だけでなくノウハウを持っている人がいます。

事業承継に精通した税理士であれば、仲介会社や事業承継者を介さずにサポートすることが可能です。

また、事業を承継する際には、手続きやスケジュールだけでなく、節税対策も重要です。

事業を相続する場合、会社の資産は相続人に引き継がれますが、原則として会社の資産価値が高いほど、納めなければならない税額も高くなります。

これは相続人にとって大きな負担となるため、できるだけ税負担を軽減するための対策が必要です。

また、事業承継においては、税金の免除や控除の制度もありますので、専門の税理士に相談することで、効果的な節税が可能になります。

まとめ

さて、ここまで事業承継と税理士の関係について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。

会社経営のスタイルややり方は時代とともに変化します。

それに伴い、事業承継の動向も時代とともに変化しています。

税理士などの専門家は、最新の情報やトレンド、時代とともに変化する経営手法などに関する知識を持っています。

事業承継の手続きは、企業の規模や戦略によって大きく異なります。

ただ闇雲に税理士を探すのではなく、事業承継の希望にマッチした税理士を探すことが重要です。

直接話を聞くことで、本当に必要な専門知識を持っているか、必要な手配ができるかどうかを判断することができます。

専門家の力をうまく借りることで、ビジネスの継続性をより最適なものにすることができます。