経営者が支払う代表的な税金と言えば、『法人税』『固定資産税』『事業税』『消費税』です。なかでも消費税は身近な税金としてよく知られていますが、案外、基本的なことをご存知でない方もおられるのではないでしょうか?
ここでは、消費税の仕組みや納付が必要なケース、不要なケースなどについて簡単にご説明します。
消費税とは、消費行為に対してかかる税金のことです。
消費行為とは、消費者が店舗で商品を購入したり、サービスの提供を受けたりすることを指します。
本来、消費行為があった際は、すぐに税務署に消費税を納税するべきですが、これは現実的ではありません。
そのため、商品代金に上乗せした消費税を店舗がいったん預かり、代わりに納付するという仕組みになっているのです。
たとえば、メーカーが製造した製品を税抜売価100円と設定し、これに消費税を上乗せし、110円で卸売会社に販売し、10円分の消費税を税務署に納付します。
次に卸売会社は、110円で仕入れた商品を、利益と消費税を上乗せした132円で店舗(小売)に販売し、小売から徴収した12円分の消費税から、メーカーに支払った消費税10円の差額である2円を税務署に納付します。
そして、小売は132円で仕入れた商品を、利益と消費税を上乗せした165円で消費者に販売し、15円分の消費税から、卸会社に支払った12円を引いた3円を税務署に納付します。
つまり、『預かった消費税』-『支払った消費税』=納付する消費税、という計算式となり、「メーカー」が10円、「卸売」が2円、「小売」が3円とそれぞれが分担して消費税を納めることによって、最終消費者が負担する消費税15円を税務署に納めているというわけです。
原則として、前項の計算式で納付する消費税は算出され、消費税に係る課税売上高が一定金額を超えると納税義務が発生します。
しかし、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の小規模事業者については、消費税の納税義務が免除されます。
基準期間における課税売上高とは、法人の場合は原則として当事業年度の前々事業年度の課税売上高、個人事業主の場合は前々年の課税売上高をいい、この間の課税売上高が1,000万円以下である場合には、『免税事業者』として税務署への消費税の納付が不要となります。
また、消費税を計算するためには、売上と仕入、両方の帳簿や請求書などを保存しておかなければならず、事務処理の負担が増えることになります。
また、一定規模以下で次の要件をすべて満たす事業者は、『簡易課税制度』という預かった消費税から、業種によって決められた一定率を乗じた額を支払った消費税とみなして納税額を計算する、簡易な計算方法での算出が認められています。
<簡易課税制度の要件>
・課税事業者
・適用を受けようとする課税期間の前事業年度又は前年までに簡易課税制度選択届出書を提出済み
・その課税期間の前々事業年度(法人)又は前々年(個人事業主)の課税売上高が5,000万円以下であること
消費税の申告・納付に関わることで不明点や疑問に思うことなどがありましたら、お気軽にお問い合わせください。