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コラム

事業承継コンサルティングは使った方がよい?かかる費用や失敗しないポイントは?

最近では、後継者不足などの問題から事業承継を検討する企業が増えています。しかし、事業承継には複雑な法制度や税制の問題が絡むため、方針の確認や実施にあたっては専門のコンサルを利用する企業が少なくありません。しかし、事業承継のコンサルティイングには決まった国家資格や認定制度がないため、コンサル会社や担当者の実力もまちまちとなっています。この記事では円滑な事業承継のためのポイントやコンサルティング会社の選び方、特徴、かかる費用の目安などについて紹介します。

中小企業の事業承継の状況

帝国データバンクの全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)によれば、全国・全業種約27万社の後継者不在率は57.2%となり、コロナ前の2019年からは8.0pt、21年の不在率61.5%からも4.3pt低下し、5年連続で不在率が低下する結果となっています。

また、2022年の事業承継においては「同族承継」により引き継いだ割合が34.0%に達し、全項目中最も高かったものの、前年からは4.7ptの低下となり、親族間の事業承継割合は急減している状況が続いています。

一方、血縁関係によらない役員などを登用した「内部昇格」は33.9%と、前年から2.5pt増加し、買収や出向を中心にした「M&Aほか」の割合が20.3%と、調査開始以降で初めて20%を超える状況となっているものの、同じ親族外の承継でも社外の第三者を代表として迎える「外部招聘」については7.5%にとどまっています。

以上のように、最近の事業承継では親族間承継は減少しているものの、内部昇格とM&Aを合計した割合は54%と過半数を占めており、このことからも事業承継の件数やこれを対象としたコンサルの活躍場は、さらに増えていくものと考えられます。

代表的な事業承継のパターンと特徴

事業承継の方法は、誰に事業を承継するかにより、「親族内での承継」、「従業員等への承継」、「M&Aによる社外への承継」の3つのパターンに分類されます。

親族内承継

「親族内承継」とは、現経営者の子をはじめとした親族に事業を承継させる方法で、もっとも一般的なパターンとなります。

他の方法と比べて、「内外の関係者から受け入れられやすい」、「長期の準備期間を確保しやすい」、「相続等により財産や株式を後継者に移転できるため、所有と経営の一体的な承継が期待できる」といったメリットがあります。

ただし、事業承継を行うに当たっては、先代経営者からの株式や事業用資産、相続に伴い分散した株式などの買取りが必要となる場合があります。

従業員承継

「従業員承継」とは、「親族以外」の役員・従業員に事業を承継させる方法です。

従業員承継には、「能力のある人材を見極めて承継させやすい」、「承継後も経営方針の一貫性を保ちやすい」などのメリットがあります。

また、最近では、これまで従業員承継において課題であった資金の問題についても、種類株式や持株会社、従業員持株会を活用するスキームの浸透や、税制改正等により実施しやすい環境が整いつつあります。

なお、従業員承継の場合には、親族内承継よりも利用できる税金優遇の手段が少なくなる、手続きが複雑となりやすいなどの問題があります。

M&A

「事業のM&A」は、株式譲渡や事業譲渡等により社外の第三者に事業を引き継がせる方法です。

親族や社内に適任者がいない場合でも、候補者を外部に求められることや、現経営者は会社の売却により利益を得ることができるなどのメリットがあります。

前述のとおり、M&Aを活用した事業承継は、近年増加傾向にあり、認知度も高まりつつありますが、スキームの選択肢が多く最適なものを見つけにくい、他の方法よりコンサル等への報酬がかさみやすい、譲受側では買収資金やその後の統合作業が必要となるなどの問題があります。

事業承継を検討すべきタイミング

事業承継が成功するか否かは、「いつ行うのか?」というタイミングによっても大きく左右されます。

なぜなら、手続きをスムーズに行うには、内部関係者の意思確認、必要な資金の準備、承継スキームの作成、後継者教育など、多くの時間と手間がかかるからです。

そのため、一般的には以下のようなタイミングで着手するのが望ましいとされます。

・経営者が概ね60歳に達した頃

・60歳を超えている場合は、すぐにでも準備に着手する

着手を先延ばしにしていると、「代表者の事故・病気」や「相続の発生」、「経営環境の大きな変化(赤字会社への転落)」、「譲渡先の会社が見つからない」などの事情が生じ、より実施が難しくなってしまいます。

そのため少なくとも代表者が60歳になるまでには事業承継コンサルタント等に相談し、大枠での見通しを立てておくことが重要といえます。

事業承継コンサルティングにしてもらえること

通常、事業承継コンサルティングでは、以下のような支援をしてもらうことができます。

後継者の育成サポート

「親族承継」や「従業員承継」のケースでは、十分に後継予定者の教育や育成ができていないことも多く、企業理念や経営方針への理解、実務に関する能力などが不足することが少なくありません。本来であれば、これらは現在の代表者が行うべきものですが、代表者の健康状態の不調や事業の急変などがある場場合には、これらをする余裕がないこともあります。

しかし、事業承継コンサルティングを活用すれば後継者育成のサポートや代行を行ってもらえるため、承継に伴う時間やかかる労力を少なくすることができます。

企業価値の確認や後継会社の選定

M&Aによる事業承継では、承継する会社の企業価値の調査や後継会社の探索をする必要があります。しかし、企業価値の算定は、企業の規模や種類により方法が異なるだけでなく、高度な専門的知識が必要となります。さらに、後継会社(譲渡先会社)の選定には経験や調査の能力が必要となるため、通常の企業では行うのが難しいといえます。

けれど、事業承継コンサルティングを活用すれば企業価値の算定や、それにもとづく最適な承継会社の選定を任せることができるため、失敗のリスクを減らすことができます。

計画策定のサポート

どのような形で事業承継をする場合でも、承継後はこれまでと経営内容が変わるため、これを踏まえた中長期的な経営計画を立てる必要があります。とくに、M&Aによる承継の場合には、相手会社への内容の開示やすり合わせが求められるため、「親族承継」や「従業員承継」のケースよりも詳細な計画を作らなければなりません。

一般的な企業の経営者はこのような計画の作成に慣れていないため、どのような内容が必要なのかや、実現可能性の高い計画を作ることが難しい場合が少なくありませんが、事業承継コンサルティングではこのような計画の作成をサポートしてもらうことができます。

税務や法務のサポート

事業承継では、自社株や資産・負債の移転などが発生する他、どのようなスキームを利用するかによって税金が大きく変わることがあります。また、親族内承継の場合には、相続争いがからむこともあるため、この点についても十分な協議や取り決めが必要となります。

とくに、後継者が過半数以上の株式の保有ができない場合には、株式の買取りや種類株式の発行などによる対策などが必要となります。

これらを行うには高度な専門的知識やノウハウが必要となりますが、税務・法務に強い事業承継コンサルタントの支援を受けることで、より少ない税額での計画の実行や間違いのない法的手続きを行うことができます。

事業承継の手順について

代表的な事業承継の方法には3つのパターンがありますが、それぞれで手続きの進め方が異なります。

親族内承継のケース

・会社の状況把握(自社株やその他資産・負債状況、承継後の経営方針の確認など)

・代表者や関係親族の意思確認

・企業価値や自社株の評価額の算定

・事業承継計画の策定と実行

・取引先や金融機関への報告と届出

・後継者の育成サポート

・承継後の計画の進捗確認と修正

この他にも、新代表者への株式の集中化や資産の移転、金融機関への代表取締役の変更届などが必要となることがあります。

従業員承継のケース

・会社の状況把握

・代表者や関係親族、社員の意思確認

・企業価値の評価額の算定

・事業承継スキームの検討

・株式買取資金他、必要資金額の確認と調達の検討

・事業承継計画の策定と実行

・取引先や金融機関への報告と届出

・新代表者の育成サポート

・承継後の計画の進捗確認と修正

この他にも、企業借入れの連帯保証人をどうするか(旧代表と交代もしくは、併存して負担)などの対応が必要なる可能性があります。

M&Aのケース

・会社の状況把握

・代表者や関係親族、社員の意思確認

・M&A仲介会社の選定や契約手続き

・企業価値の評価額の算定

・契約候補先の調査、選定

・契約候補先との交渉

・基本合意書の締結

・デューデリジェンス

・最終契約の締結

・クロージング

・M&A手続きの実行

・取引先や金融機関への報告と届出

・譲渡先会社への引継ぎおよびサポート

M&Aによる承継では、事業承継コンサルタントの協力を得て行うのが一般的です。コンサルタントに依頼した場合には、財務・法務的な部分だけでなく、候補者の選定や交渉までを任せることができるので安心です。

代表的なM&Aの種類

代表的なM&Aの種類としては、以下のものがあります。

株式譲渡

株式譲渡とは、事業の譲渡側の株式を、譲受側に譲り渡す手法であり、これにより譲渡側の企業が譲受側の会社の子会社や持分会社となります。

手続は株式を譲り渡すだけのシンプルなものですが、譲渡側企業の資産、負債、対外的な契約関係、許認可等も原則、そのまま承継されるので、手続きの切り替えや許認可の取り直しなどをする必要がありません。しかし、包括的に権利義務の移転がされるため、簿外債務や契約上のリスク等を引き継ぐ可能性があります。

事業譲渡

事業譲渡とは、譲渡側企業の事業の全部又は一部を、譲受側企業に譲渡する手法です。

株式ではなく、事業そのものを譲り渡すため、個別に債権や債務の移転、各種の契約手続きなど行う必要がありますが、簿外債務などを引き継ぐリスクを遮断しやすいというメリットがあります。

会社分割

会社分割とは、会社法が定める組織再編の1つであり、会社の事業の全部又は一部を分割し、他の会社へ承継させる手続です。

この場合は、原則、合併などと同様、包括承継となる他、一定の要件を備えた場合には、雇用や許認可等をそのまま引き継ぐことができます。(一部、引継げないものもあります)。

ただし、会社分割が有効に成立するためには、債権者保護手続等の他、会社法上で定められた所定の手続きを行う必要があります。

合併

合併とは、特定の企業の権利義務の全部を他の既存会社もしくは新設会社に包括的に承継させる手続きです。

会社分割の場合は、原則として譲渡側企業がそのまま存続するのに対して、合併では元の企業は消滅することとなります。合併には、企業が一体化することで規模やノウハウ、競争力を大きく強固にできるなどの他、許認可等をそのまま引き継げるといったメリットがありますが、簿外債務・偶発債務などを引き継ぐリスクもあります。

事業承継コンサルの業務内容

事業承継コンサルが行う業務にはさまざまなものがありますが、代表的なものとしては以下のようなものがあります。

企業価値評価の算定

親族内で事業承継をする場合には、主要な財産はその会社の株式となるため、自社株評価の算定が必要となりますが、これをすることでおよその企業価値がわかるとともに、承継にあたって発生する贈与税や相続税の算定も可能となります。

なお、非上場会社の自社株評価は、原則的に「類似業種比準」もしくは「純資産価額」により行われます。これに対し、従業員承継やM&Aの場合は、財務状況、資産・負債内容、事業の将来性など参考に、「インカムアプローチ(企業の収益や利益の額を基準)」、「マーケットアプローチ(類似上場企業の株価と比較)」「コストアプローチ(企業の純資産価額を基準)」などの方法により算定します。中でも「インカムアプローチ」の手法の一つであるDCF法は最も利用されている方法となります。

事業承継計画の策定

現状の経営状況をベースとし、事業承継の目的・方針の確認、効果の予測、代表者が変わった後の経営の進め方、スケジュールの作成などのサポートをします。

事業承継計画の策定には、後継予定者や関係人の意思の確認、権利関係の整理、実行可能性の予測などを含みます。

事業承継計画の実行

策定した承継計画を実行し、スムーズな事業承継ができるよう必要なサポートをします。

具体的には、株式の移転や株主総会の開催、相手企業との交渉や契約締結、財務・法務面の手続きの実施等のサポートを行います。

後継者の育成のサポート

とくに家族承継の場合には、後継代表者が十分に育っていないことが多いため、経営の仕方や経営者としてのマインドの育成、実際の業務の進め方、取引先との調整などについてサホートを行います。

事業承継コンサル費用の相場の目安

事業承継コンサルを利用した場合は、その依頼の内容に応じて一定の費用が必要となりますが、コンサル会社ごとに料金体系が異なるため、明確な基準はないものの、以下の記事の金額が参考となります。

事業承継コンサルの相場について

一般的なコンサル会社の報酬の相場としては、以下の金額が目安となりますが、これらの費用のすべてが必ず必要となるわけではないことに注意してください。

【一般的な事業承継コンサルの報酬相場】

1 相談料:0円~1万円(1時間当たり)

2 着手金:0円~200万円

3 中間金:0円~100万円(または成功報酬費用の10%~20%程度)

4 デューデリジェンス費用:0円~200万円

5 成功報酬費用:買収金額×3~5%程度

6 リテイナーフィー:月額0円~50万円

7 業務実行にかかる実費:弁護士・税理士などの報酬、交通費、宿泊費など

M&Aに関する手数料の種類

M&Aの際にコンサル会社に支払う手数料の種類には、以下のようなものがあります。

〇相談料
相談料とは、M&A仲介業者に正式な手続きを依頼する前の相談の際に支払う手数料です。現在、多くの仲介会社が相談料を無料としています。しかし、中には有料となるケースもあるため、あらかじめ相談の前に費用の有無を確認しておきましょう。

〇着手金
着手金は、正式な仲介契約を依頼した場合に、M&A仲介業者へ支払う費用です。
着手金は候補先企業の調査や売却価格の算定などに使われるため、一度支払った場合には、途中でキャンセルをしても返還されません。
最近では、着手金を取らない会社も増えていますが、その場合には十分な調査をしてもらえるのかや、成功報酬が高めに設定されていないかなどに注意するようにしましょう。
なお、着手金の額は行う業務の内容によって異なりますが、50万円~200万円が相場となります。

〇中間金
中間金とは、M&Aに関する基本合意契約を締結した際に支払う手数料です。定額料金の他、成功報酬の形式で料金が設定されているケースや中間金が発生しない会社もあります。
中間報酬の相場は約50万~200万円、もしくは成功報酬の10%前後となります。

〇デューデリジェンス費用
デューデリジェンスとは、Due(正当な)、Diligence(努力)を意味し、一般的には「DD(ディーディー)」と呼ばれます。
デューデリジェンスは、譲渡企業の財務内容や事業状況などを調査し、M&Aを行う際に問題となる点やリスクがないかを事前に調査するものです。
主に、「事業面」、「財務・会計税務面」、「法務面」の3分野について行われることが多いですが、この他にも労務・人事、システム、環境などについて行われることもあります。
一般的な財務・税務に関するデューデリジェンス行った場合の相場の額は、数十万円~200万円程度となります。

〇成功報酬
成功報酬は、M&Aが成立して最終契約の締結ができたときにM&A仲介会社へ支払う手数料です。契約が不成立に終わった場合には不要となります。
なお、成功報酬額の算定にはレーマン方式が採用されることが多いですが、コンサル会社ごとに算定の基礎(株式譲渡対価・移動総資産・企業価値など)や料率が異なるため、同じレーマン方式による場合でも最終的な金額が異なります。
なお、成功報酬の最低手数料の相場は500万円~2,000万円が一般的といえます。

参考:レーマン方式とは

レーマン方式とは、M&Aが成功した売却価格のレンジによって手数料率が変動する計算方法で、売却額が高くなるほど成功報酬の率が低くなるのが特徴です。成果の大きさに応じて報酬が決まるため、多くの仲介会社で採用されています。

<レーマン方式を採用した手数料の例>

譲渡等の金額手数料の率
5億円以下の部分
5%
5億円超10億円以下の部分
4%
10億円超50億円以下の部分
3%
50億円超100億円以下の部分
2%
100億円超の部分
1%

※譲渡価格が8億円の場合の成功報酬 5億円×5%+3億円×4%=3,700万円

〇リテイナーフィー
リテイナーフィーとは、M&A仲介会社へ毎月支払う月額の定額手数料、つまりは顧問料です。
リテイナーフィーの対象となる期間は、M&A候補先の紹介から交渉終了までとされるのが一般的ですが、最近ではこれを取る会社は少なくなっています。

〇雑費
M&Aにかかるその他の費用としては、弁護士などの専門家への謝礼、調査のための交通費や現地宿泊費などがあります。
とくに弁護士や税理士などの専門家に業務の一部を外注するケースでは、それらの費用がコンサル料金の中に含まれるのか、それとも別枠となるのかに注意する必要があります。

代表的な事業承継会社とその特徴

代表的な事業承継会社としては、以下のようなものがあります。

日本M&Aセンター

実績や経営状況を示す客観的なデータの作成や公正な評価法による企業価値評価に強みのあるM&A仲介会社です。全国の地方銀行9割、信用金庫8割、1,033の会計事務所と提携し、国内最大級のM&A情報ネットワークを構築しています。

https://www.nihon-ma.co.jp/

M&Aキャピタルパートナーズ

東証一部上場のM&A仲介会社であり、中堅・中小企業のM&Aに注力しています。企業買収や事業承継にも強く、専任担当制で専属のコンサルタントが最後までしっかりとサポートします。

https://www.ma-cp.com/

インテグループ

中堅・中小企業のM&Aに特化した完全成功報酬型のM&A仲介会社です。豊富な実績と情報収集力を生かし、早い売却戦略、企業価値の提案などにより3~6ヵ月でのM&A成立を目指します。

https://www.integroup.jp/

TRANBI

成功報酬などの手数料を請求するのではなく、プランメニューの利用により売手側(買い手側は無料)に対して定額の利用料をとる仕組みとなっています。そのため、プラン料金以外の費用は不要です。また、プランは売却希望価格に応じて3種類の中から選ぶことができます。

https://www.tranbi.com/

事業承継総合センター

着手金なし・成果報酬を売りに、M&Aの品質基準を満たすM&A仲介会社と連携し、強引な仲介や買い手を紹介されないなどのトラブルのないサポートを目指しています。また、成約時の仲介手数料も低めに抑えたものとなっています。

https://rbsp.jp/

<代表的な事業承継コンサル会社の比較>

A社 B社 C社 D社
業務着手金 あり 0円 0円 一定の固定料金プランの中から選択
中間報酬 不明 成功報酬の10% 0円
成功報酬 レーマン方式 レーマン方式 レーマン方式
最低手数料 不明 不明 500万円
取引金額の定義 移動総資産 売買価格 売買価格

事業承継に利用できる融資制度

事業承継の実施には一定の資金が必要となりますが、その調達方法としては、以下のような制度を利用することができます。

日本政策金融公庫による事業承継ローン

<事業承継・集約・活性化支援資金(国民生活事業)>

「事業承継・集約・活性化支援資金」は、事業の譲渡、株式の譲渡、合併などにより事業承継やM&Aに取り組む中小企業の資金調達を支援する融資制度です。

法人だけでなく、個人事業主や創業者も利用することができます。

融資限度額      別枠7,200万円(うち運転資金4,800万円)

返済期間   設備資金 20年以内<うち据置期間2年以内>

       運転資金 7年以内<うち据置期間2年以内>

担保・保証      要相談。ただし、無担保無保証を希望する場合には、新創業融資制度や担保を不要とする融資制度、経営者保証免除特例制度を併用できます。

信用保証協会による事業承継ローン保証

信用保証協会による保証とは、中小企業が金融機関から事業融資を調達する際に、信用保証協会が保証人となって融資をサポートする制度です。信用保証協会が直接融資をするのではなく、融資のための保証となります。

<事業承継特別保証>

「事業承継特別保証」は、経営者保証が不要であり、また経営者保証ありの既存の借入金についても借換えにより経営者保証を不要にすることが可能な制度です。さらに、経営者保証コーディネーター※による確認を受けた場合には、保証料率が大幅に軽減されます。

※経済産業省の委託等を受けて事業の承継に対する支援に係る事業を行う者(事業承継ネットワーク地域事務局等)が雇用する専門家です。

資金使途  事業資金

保証限度  2億8,000万円


<事業承継サポート保証>

持株会社を設立し、持株会社が事業会社の株式を買い取る資金に利用できる保証制度です。

資金使途  事業会社の株式取得資金

保証限度  2億8,000万円


<経営承継関連保証>

中小企業者が経営の承継のために必要な資金に利用できる保証制度です。利用にあたっては、経営承継円滑化法による経済産業大臣の認定が必要となります。

資金使途  議決権株式や事業用資産の取得資金

      事業用資産等に係る相続税又は贈与税の納税資金

      遺産分割に伴う返済資金等

      運転資金

保証限度  2億8,000万円


<特定経営承継関連保証>

後継者である中小企業者の代表者が経営の承継に伴い、当該中小企業者以外の者から株式等を取得するために必要な資金に利用できる保証制度です。

資金使途  株式等の取得資金、事業用資産の取得資金

      事業用資産等に係る相続税又は贈与税の納税資金

      遺産分割に伴う返済資金等

      認定中小企業者の事業活動の継続に特に必要な資金

保証限度  2億8,000万円

まとめ

事業承継は、事業の継続のために欠かせない問題ですが、複雑な法制度や税制の問題が絡むため、適切な方法を選ばないと経営の失敗の元となってしまいます。事業承継コンサルタントはスムーズな事業承継を行う上で役立つパートナーですが、コンサル会社によっては実力やかかる費用が大きく異なるため、その特徴や料金体系を事前に調べたうえで規模や予算にあった選択をすることが重要となります。また、すべてを任せきりにするのではなく、自分でも最低限の知識をもっておくということがコンサル選びに失敗しないコツといえます。