HOME > コラム > 証券会社に法人用の口座を開設!法人が投資を行う3つのメリットと注意点

コラム

証券会社に法人用の口座を開設!法人が投資を行う3つのメリットと注意点

資産形成の一環として投資をはじめることにしました。証券会社にも法人用の口座を開設できると聞き、個人口座と法人口座のどちらで投資をはじめるか悩んでいます。法人口座で投資を行うことにはどのようなメリットがありますか。また、注意すべき事項についてもあわせて教えてください。

銀行や信用金庫と同様に、証券会社にも法人名義の口座を開設できます。法人口座で投資を行うメリットには、投資の損失を計上することによる利益の圧縮、青色欠損金の繰り越しなどがあげられます。一方で、投資で得た利益にかかる税率は個人よりも高いうえ、法人はNISA口座や特定口座を開設できないため注意が必要です。

投資による資産形成で将来の備え 法人口座ならではのメリットとは

将来への備えとして、投資による資産形成を始める経営者が増えています。『投資信託』や『株式投資』と聞くと個人口座での取引をイメージする方が多いかもしれませんが、法人であれば法人名義の口座を開設し、法人口座で運用することも可能です。
 法人口座で投資を行うメリットは以下の2点です。

1.投資による赤字を事業による所得から差し引くことができる
2.青色欠損金を10年間繰り越せる

 1つ目は、投資による損失を計上することで、課税対象となる所得が圧縮されるため、法人税を減らす効果があります。たとえば、事業の利益が例年以上に大きい年に、投資の損失を計上することで、法人の所得に課される法人税を軽減できます。一方、個人口座では損益通算ができず、投資で赤字が発生してもほかの黒字所得と相殺することはできません。

 2つ目は、法人口座の投資での損失が、事業による所得を上回り法人決算が赤字になった場合、青色申告書を提出する法人であれば欠損金を最長10年間繰り越せることです。個人口座でも最長3年間は繰り越し可能ですが、より繰越期間が長い法人口座が有利といえるでしょう。


個人よりも高い税率に注意 特定口座が使えないデメリットも

 個人と法人の大きな違いとしては、投資で得た利益にかかる『税率』があげられます。個人に課される税率は20.315%で、利益の金額に関係なく一律です。一方、法人に課される税率は33.5%(※資本金1億円以下、所得800万円超の場合)であり、個人と法人の国税の税率にはおよそ13%もの差が生じます。
 また、個人は国の少額投資非課税制度『NISA』を活用でき、毎年120万円の非課税投資枠において、最長5年間は投資の利益が非課税となります(※一般NISAの場合)。NISAは個人投資家の資産形成を目的とした制度のため、法人はNISA口座を開設することはできません。少額投資であれば、個人でNISAを活用するほうが税制面の優遇を受けられるでしょう。
 さらに、法人は特定口座を開設できないデメリットもあります。特定口座では証券会社が投資の損益を計算し、源泉徴収ありの場合は原則として確定申告は不要、源泉徴収なしの場合も証券会社が作成する『年間取引報告書』を使うことで簡単に申告できます。一方、特定口座が使えない法人は自分で損益を計算しなければならず、売買の頻度が増えるほど計算の手間がかかってくるでしょう。
 法人口座での投資はメリットもあるものの、注意点は多々あります。メリットとデメリットを比較しながら、最適な方法を検討しましょう。