会社を設立する際に決定しなければならない決算期。実は、経営者が自由に決められることをご存知でしょうか?
決算期の設定時期によって、会社の資金繰りがしやすくなったり、節税効果が見込める場合もあります。今回は、決算期の設定方法についてご紹介します。
決算を行う時期について、個人事業主の場合は暦年課税が決められているため、1~12月の期間を事業年度と考えて確定申告を行うことが一律で定められており、変更はできません。
しかし法人であれば、決算期は任意で設定することができます。
たとえば2019年4月1日に会社を設立した場合、決算日をその年の12月末に設定すれば、1期目の事業年度は4~12月の9カ月間となり、2期目以降から1~12月となります。
もし2020年3月31日を決算日と設定すれば、1期目の事業年度は最長の1年間となります。
決算日を他社に合わせてなんとなく決めてしまうと決算期に負担が増えてしまうため、注意する必要があります。ここで押さえておくべきポイントは、次の4つです。
(1)1期目が1年間になるように
資本金が1,000万円未満で会社を設立した場合は、設立1期目及び2期目(大規模法人の子会社を除く。2期目については前期の上半期の課税売上高が1,000万円以下であることが条件となります)については、消費税を免除する規定があります。
そのため、1期目を最長の1年間になるよう決算日を設定しておけば、丸2年間、消費税の免除が受けられます。
(2)繁忙期を避ける
会社は、決算日から2カ月以内に法人税等の確定申告を行って納税しなければいけません。
確定申告は準備に時間と手間がかかるため、売り上げが大幅に上がる繁忙期の直後に決算日を設定すると、節税対策が間に合いません。
特に売り上げに季節的な変動があるような業種では、決算日は繁忙期から期間を空けて設定してみてはいかがでしょうか。
(3)支出の多い月を避ける
法人税等の納税に伴う資金の確保を考えると支出の少ない時期に決算日を設定するのも一つの方法です。
具体的には、夏季や冬季の賞与支払い月や納期の特例を申請している場合は、当該納付月を避けると良いのではないでしょうか。
前述の通り、会社設立時に設定した決算日は、後から変更することも可能です。
公証役場での定款の認証や登記も不要なので、税務署などへ届け出をすることで簡単に変更することができます。
具体的には①株主総会の決議をとり、②所轄税務署・都道府県税事務所・市区町村の役所へ「異動届出書」を提出します。
その際に、変更を決議した「株主総会議事録」のコピーも併せて添付します。
決算期が会社の状況にそぐわないとお困りの場合は、会社の事情に合わせて計画的な節税対策を講じていくためにも、早めの変更をおすすめします。