HOME > コラム > 資産を活用して資金を調達するアセットファイナンスとは?

コラム

資産を活用して資金を調達するアセットファイナンスとは?

アセット(=資産)ファイナンスとは、自社が保有している資産の信用力、言い換えれば将来生み出すキャッシュフローを元手に、資金を調達する仕組みです。今回は、経営者は知っておきたいアセットファイナンスについて説明します。

資産である不動産を売却してその後も利用できるリースバック

企業の資金調達では、主に株式や社債などを発行する方法と、銀行などの金融機関から借り受ける方法が考えられます。
企業活動を行うために必要な資金を金融市場から調達する『コーポレートファイナンス』では、会社の信用力を重視します。したがって、コーポレートファイナンスのみしか存在しない場合、財政状況が悪化していたり、信用度が低かったりする企業は、資金調達が難しくなってしまいます。
そこで登場したのが、アセットファイナンスです。コーポレートファイナンスが企業の信用度を重視するのに対し、アセットファイナンスは、企業の保有資産がどのくらいお金を生み出すのかというキャッシュフローの創出力に対して融資や投資をします。企業価値や信用力などは問われません。
つまり、創業したばかりで信用力のない企業や、業績が悪化した企業でも、保有資産さえあれば資金調達が可能になります。

アセットファイナンスには、保有資産ごとにさまざまなスキームがあります。
たとえば『リースバック』と呼ばれるスキームでは、企業が不動産を所有している場合、そのまま売却して資金を調達することも可能ですし、引き続き事業に物件を使用するのであれば、その物件の賃貸契約を結んだうえで使用し続けることが可能です。賃料は発生するものの、企業側は売却益を得て資金調達ができるうえに、これまで通り、変わらずに物件を利用できるという大きなメリットがあります。
リースバックは、アセットファイナンスの代表的な手法の一つとして、個人・法人の資金調達にかかわらず多く活用されています。

売掛債権が対象のスキーム資金繰りに売掛債権の売却で対応

アセットファイナンスは、不動産や機械設備などの有形固定資産や、特許権や商標権、借地権など形のない無形固定資産など、資産を売却して資金化する資金調達方法ですが、売掛債権を対象とした『ファクタリング』というスキームもあります。
多くの企業は、代金が後払いになる掛取引を行っており、代金の一部を売掛金とする一定期間の債権を持っています。ファクタリングでは、この売掛債権を売却して現金化することで、貸し倒れを防ぎます。
また、ファクタリングは、入金日よりも早く現金を手にできるというメリットがあります。一方、注意点としては、売掛債権そのものの価値を現金化するため、企業価値の高い優良企業の売掛債権はスームズに現金化できますが、信用度の低い企業の売掛債権は現金化の手数料が高くなってしまったり、そもそも買い取りを断られてしまったりすることです。手数料が高すぎると、金融機関から借入をして利子を払ったほうが結果的に安くなってしまうため、企業は売掛債権の価値を把握しておくことが重要になります。
アセットファイナンスの利点は、負債を増やさずに資金調達できる点です。しかし、資産によっては価値の変動が大きなものもあります。いざというときに備えて、自社の保有資産をしっかり把握しておくことが大切です。