HOME コラム > 税理士変更のベストタイミングはいつ?失敗しない時期の選び方と手順を解説

コラム

税理士変更のベストタイミングはいつ?失敗しない時期の選び方と手順を解説

「今の税理士に不満はあるけれど、いつ変更すればいいのか分からない」税理士の変更を検討している経営者・個人事業主の多くが、この"タイミング"で悩んでいます。

結論からお伝えすると、税理士変更のベストタイミングは法人なら決算申告が終わった直後、個人事業主なら確定申告が終わった3月中旬以降です。逆に、決算直前や確定申告期(1〜3月)の変更は、引き継ぎトラブルのリスクが高く避けるべきです。

この記事では、税理士変更に適したタイミング・避けるべきタイミングを整理したうえで、変更の具体的な手順、現在の税理士への断り方、注意点までを網羅的に解説します。

税理士変更のベストタイミング

1. 法人:決算申告が終わった直後

法人にとって最もスムーズに変更できるのが、決算申告(決算日から2ヶ月以内)が完了した直後です。

決算申告は1年間の会計処理の集大成であり、ここで一区切りがつきます。申告が完了していれば、前の税理士に依頼すべき業務が残っておらず、新しい税理士は翌期の期首からまっさらな状態で関与できます。引き継ぎ資料も「直前期の決算書・申告書一式」が揃っているため、新しい税理士が状況を把握しやすいのも大きなメリットです。

たとえば3月決算の法人なら、申告期限である5月末を過ぎた6月〜7月頃が変更の好機です。

2. 個人事業主:確定申告が終わった3月中旬以降

個人事業主の場合は、確定申告(原則3月15日期限)が終わった直後がベストです。

理由は法人と同じで、1年分の申告が完了して業務の区切りがつくためです。3月中旬〜夏頃までに新しい税理士と契約すれば、年内の記帳指導や節税対策にも余裕をもって取り組めます。

3. 税務調査が終わった直後

税務調査の対応が完了したタイミングも、変更に適しています。

税務調査は過去の申告内容を担当した税理士が対応するのが基本です。調査の途中で税理士を変更すると、経緯を知らない新しい税理士が対応せざるを得なくなり、不利益を被る可能性があります。調査が終わり、修正申告や納税まで完了してから変更しましょう。

なお、「税務調査での対応に不満を感じた」ことが変更のきっかけになるケースも少なくありません。その場合も、調査完了を待ってから動くのが鉄則です。

4. 顧問契約の更新月の2〜3ヶ月前

顧問契約書に契約期間や解約予告期間が定められている場合は、その内容に合わせるのが安全です。

「解約は3ヶ月前までに書面で通知」といった条項があるケースは珍しくありません。契約更新月の2〜3ヶ月前から新しい税理士を探し始めれば、違約金などのトラブルを避けつつ、切れ目なく引き継げます。

税理士変更を避けるべきタイミング

1. 決算直前(決算日の3ヶ月前〜申告期限まで)

決算をまたいで税理士を変更すると、期中の会計処理を把握していない新しい税理士が決算を組むことになります。処理方針の違いによるミスや、節税策の検討不足が起こりやすく、最悪の場合は申告期限に間に合わないリスクもあります。

決算直前に不満が募った場合でも、目の前の決算は現在の税理士に完了してもらい、申告後に変更するのが賢明です。

2. 確定申告期(1月〜3月15日)

1〜3月は税理士業界の最繁忙期です。この時期は新規顧問の受け入れを停止している事務所も多く、引き受けてもらえたとしても十分な対応を期待しにくいのが実情です。個人事業主は申告完了後に動きましょう。

3. 税務調査の通知が来た後・調査中

税務調査の通知後に税理士を変更すると、税務署から「何か隠したいことがあるのでは」と余計な心証を与えかねません。また前述のとおり、過去の処理を知らない税理士では調査対応が不利になります。調査完了まで待つのが原則です。

税理士変更の流れ5ステップ

税理士の変更は、次の順序で進めるとスムーズです。先に新しい税理士を決めてから、現在の税理士に解約を伝えるのがポイントです。

ステップ1:顧問契約書の解約条件を確認する

まず現在の契約書を確認し、解約予告期間・違約金の有無・契約期間をチェックします。ここを確認せずに動くと、思わぬ費用が発生することがあります。

ステップ2:新しい税理士を探す・面談する

税理士紹介サービスや知人の紹介、Web検索などで候補を探し、必ず面談をしましょう。確認すべきポイントは以下のとおりです。

  • 自社の業種・規模の関与実績があるか
  • 顧問料と業務範囲(記帳代行・年末調整・税務調査対応など)が明確か
  • クラウド会計(freee・マネーフォワードなど)への対応
  • レスポンスの速さ・相性

ステップ3:新しい税理士と契約する

契約開始時期は、現在の契約の終了時期と重ならないよう調整します。1〜2週間程度の引き継ぎ期間を見込んでおくと安心です。

ステップ4:現在の税理士に解約を伝える

解約の意思は、契約書の定めに従って伝えます。トラブルを避けるため、変更理由は角の立たない表現にするのがおすすめです。

【断り方の例文】「長年お世話になり感謝しております。このたび経営方針の見直しに伴い、顧問契約を〇月末で終了させていただきたくご連絡いたしました。つきましては、お預けしている資料のご返却をお願いできますでしょうか。」

「知人の税理士に頼むことになった」「会社の方針で変更することになった」といった理由も、波風を立てにくい定番の伝え方です。

ステップ5:預けている資料を返却してもらう

以下の資料は必ず回収し、新しい税理士に引き継ぎます。

  • 決算書・申告書の控え(過去3〜5年分)
  • 総勘定元帳・仕訳帳
  • 領収書・請求書などの原始資料
  • 定款・登記簿謄本(法人の場合)
  • 給与関係資料(源泉徴収簿・年末調整資料)
  • e-Taxの利用者識別番号・暗証番号

これらの資料は本来事業者のものです。返却を渋られた場合でも、返してもらう正当な権利があります。

税理士変更で失敗しないための注意点

会計データの引き継ぎ形式を確認する

前の税理士が独自の会計ソフトで処理していた場合、データをそのまま引き継げないことがあります。CSVエクスポートの可否や、新しい税理士が使うソフトとの互換性を事前に確認しておきましょう。

空白期間を作らない

前の契約終了から新しい契約開始までに空白期間があると、その間の税務相談や届出対応が滞ります。特に年末調整(12〜1月)や償却資産申告(1月)の時期に空白が重ならないよう注意が必要です。

感情的な解約は避ける

不満があっても、前の税理士との関係を険悪にすると資料返却や引き継ぎに支障が出ることがあります。最後まで事務的・丁寧に対応するのが結果的に得策です。