平成30年度税制改正で『電子情報処理組織による申告の特例』が創設され、一定の法人には、法人税と消費税を電子情報処理組織(以下、e-Tax)で確定申告することが義務づけられました(以下、電子申告の義務化)。
今回は、この『電子申告の義務化』の概要と、e-Taxのメリットについて解説します。
財務省が平成30年4月に改定した『行政手続コスト削減のための基本計画』によると、平成28年度における『法人税申告のオンライン利用率』は79.3%でした。
ただし、資本金が1億円以上の法人の『法人税申告のオンライン利用率』は56.9%に留まっています。
そのため、社会全体のコスト削減や生産性向上などを目的として、平成30年度税制改正にて『電子申告の義務化』が決定されました。
なお、e-Taxでの申告が義務化される税目・対象法人は以下の通りです。
【対象税目】(※1)
・法人税&地方法人税
・消費税&地方消費税
【対象法人】
(1)法人税&地方法人税
・日本国内に主たる事務所を有する法人のうち、その事業年度開始時において資本金または出資金の額が1億円を超える法人
・相互会社、投資法人、および特定目的会社
(2)消費税&地方消費税
・(1)の法人+国および地方公共団体
【適用開始日】
平成32年4月1日以後に開始する事業年度(課税期間)から適用されます。
e-Taxを導入するメリットとは
前述の『行政手続コスト削減のための基本計画』では、“法人税・消費税におけるe-Tax利用率”の今後の目標を、資本金または出資金の額が1億円を超える法人などは100%、中小企業でも85%以上と定めています。
さらに、将来的には中小企業にも電子申告の義務化が検討されています。
では、企業がe-Taxを利用することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか?
【電子申告のメリット】
・税務署への申告書提出に出向く事や郵送の必要がないため、機密文書を社外に持ち出すリスクや発送コストを軽減できる
・税理士による代理送信も認められるため、税務担当者の作業効率化や人件費削減が見込め、申告ミスの削減にもつながる
・オフィスからインターネット経由で電子納税が可能
また、本改正により、法人税申告書別表のデータ形式の柔軟化・提出先の一元化など、電子申告手続きを促進すべく環境整備が進められます。
e-Taxを利用するには事前の手続きが必要ですが、一度導入してしまえば、法人税などの申告・納税におけるメリットが享受でき、作業効率などが格段にUPする事を見込めます。
将来的には全企業に電子申告の義務化が検討されていることから、大法人だけでなく中小企業においても、早めにe-Taxの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
※1 地方税の法人住民税および法人事業税についても電子申告が義務化されます。詳しくは各地方公共団体のホームページをご確認ください。