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歯科医院が計上できる経費とは?範囲に注意!

一般企業と同様に歯科医院の課税所得に対して税金が課せられます。

事業所得は、総収入から必要経費を控除することで算出されるため、かかった経費をきちんと計上すれば、その分、課税される所得を圧縮することができます。しかし、経費の範囲は決められており、たとえばプライベートでの食事代やレジャー代などは、経費として認められません。

今回は、歯科医院の経費として認められる費用の範囲と、経費計上の際に注意するべき点を解説します。

家族をスタッフとして働かせる際に注意したいこと

歯科医院における経費とは、歯科医としての収入を得るために使った費用や、歯科医院を維持管理するための費用が対象となります。主に人件費や材料費、水道光熱費などに仕訳することができます。

人件費は、従業員に支払う給与や各種手当、賞与や退職金などのことです。

スタッフへの給与はそのまま経費計上できますが、注意したいのは家族をスタッフとして雇っている場合です。

所得税法では、原則として配偶者など生計を一にする家族への給与を経費として認めていません。しかし、青色事業専従者給与の届出書を税務署に提出すれば、特例として家族への給与も経費として認められます。

ただし、たとえ家族に対してであっても、業務内容にそぐわない、高い給与を支払っていた場合は、経費として認められないことがあります。

不相当な額の給与は税務調査の際に指摘される可能性があるので注意が必要です。

また、実際には働いていないにも関わらず、働いていることにして給与相当額を経費計上しているケースなどは、税務調査で厳しく追求されます。その結果、追徴課税などのペナルティを受けることがあります。

材料費が経費になるのは年度内に使った分だけ

治療に用いた医薬品や歯科材料の代金は『材料費』として経費に計上できます。

また、受付で販売する歯ブラシやデンタルペーストなどオーラルケアグッズの仕入れ代金も経費として計上できます。

ただし、経費になるのは、その年度内において、実際に治療に使った分だけになります。

その年購入した物でも、まだ使っていない分は棚卸資産として振替計上します。

一般的に、歯科医院の売上に対する材料費の割合は、1割程度といわれています。この目安を超えている場合は、適切に在庫管理ができていない可能性があります。

確定申告の時期には在庫の棚卸しをする必要がありますが、管理方法が適切でないと余計な手間がかかってしまいます。さらに、コストも無駄にかかり、廃棄量も増えてしまう可能性があります。

整理整頓を徹底したり、品目を絞ったりするなどして、在庫管理は定期的に行うほうがよいでしょう。

実は、医薬品や歯科材料のほか、歯科技工士に支払う歯科技工料も材料費に含まれます。

歯科技工物も、経費計上できるのはその年度に使った分なので、実際に発注した技工物を患者に装着していれば経費として計上できますが、歯科技工士に預けている金属材料などは、棚卸資産となります。

預けたままになっている技工物は、在庫として棚卸資産に振替計上する必要があるので注意しましょう。

水道料や電気料、ガス代などの水道光熱費は、基本的に全額経費にできます。しかし、医院が住居も兼ねている場合、事業用の経費から住居用に使用した分を除外しなければなりません。これを『家事按分』といい、事業用とプライベート用を一定の割合で仕分けして、事業用として使った分を求めることになります。

自動車のガソリン代や家賃に関しても同様です。

どの項目でも経費の範囲は決まっており、基本的には歯科医としての収入を得るために必要な支出であれば、経費として認められます。

特に、交際費はプライベートな支出と混同しやすいため、税務調査で指摘されることが多い項目なので注意が必要です。

税務調査が入ってしまい、追徴課税などのペナルティを受けることのないように、どういった目的で、事業にどう必要だったのかを記録できるようにしておきましょう。