グループ法人内の会社をひとつの団体とみなし、実態に即した公平な課税を行うことを目的とする「グループ法人税制」。
グループ法人税制は100%資本関係のある法人間では強制適用されるため、グループ間で資本の移動を行ったときには注意が必要です。
譲渡損益の繰り延べなど基本的にはメリットのあるグループ法人税制ですが、いくつかのデメリットも挙げられます。
グループ法人税制は事業承継の解決策としても利用できる一方、複雑なのできちんと理解して適切に対応することが重要です。
そこで今回は、グループ法人税制に強い横浜の税理士の選び方を解説します。
グループ法人税制の基礎知識についてもまとめているので、グループ経営をしている、あるいは今後考えている人は、ぜひ一度目を通してみてくださいね。
グループ法人税制とは、100%グループ内(完全支配関係)の法人間に適用される税制です。
複数の法人をグループ化することは事業承継問題の解決策として有効な手立てのひとつですが、グループ法人税制が適用される点に注意してください。
「グループ通算制度」という似た名称の制度があり、こちらが任意で選択できる一方、グループ法人税制は強制で適用されます。
グループ法人税制の主な制度は、以下の通りです。
上記はそれぞれ適用される法人が異なり、たとえば配当金の益金不算入制度では、日本国内に恒久的な施設があれば外国法人も含まれます。
また、取引相手や完全支配関係に制限がある点にも注意が必要です。
グループ法人税制には適用法人や取引相手などに細かいルールが設けられているので、制度にのっとり適切に処理しなければなりません。
参考:国税庁|グループ法人税制の適用対象法人等の比較
連結納税制度とは、企業グループ全体をひとつの納税単位として課税する制度です。
特徴として親会社のみが法人税の申告・納付義務を負うことが挙げられます。
グループ法人税制との違いには、主に以下が挙げられます。
連結納税制度では適用を受けるかは任意であることと、外国法人や個人による完全支配関係がある法人には適用されません。
なお、税制改正により連結納税制度は2022年4月以降「グループ通算制度」に移行されました。
グループ通算制度での大きな変更点は、親会社がまとめて行っていた申告や納税を法人ごとに行い、子会社も申告することになった点です。
グループ法人税制と連結納税制度・グループ通算制度は、似通った制度であるものの、違う点もあることを覚えておきましょう。
横浜でグループ法人税制に強い税理士を選ぶには、以下の4つのポイントが重要です。
横浜でグループ納人税制に強い税理士を選ぶことで、ミスのない申告ができるでしょう。
横浜でグループ法人税制に強い税理士を選ぶには、専門的な知識や経験実績が豊富かをチェックしましょう。
グループ法人税制は2010(平成22)年度に導入された、比較的新しい税制です。
似た名称のグループ通算税制もあり、ややこしくかんじることもあるでしょう。
事業承継を考える経営者においては、仲介業者は事業承継についての知識はもちろん、グループ法人税制に精通しているかどうかも重要なポイントです。
グループ法人税制の専門的な知識があり、実務経験が豊富にある税理士であれば適切な税務処理を行えます。
また、さまざまな業種・業界のグループ法人の税務を扱った経験のある税理士であれば、実態に即したアドバイスや提案も期待できます。
グループ法人税制を安心して任せられる税理士を選ぶなら、対応の迅速さも重要です。
連結グループ企業の所得計算をつつがなく、きっちり算出するにはグループ内の複数の法人間と密に連絡を取る必要があります。
それぞれの法人への対応が遅いとやりとりがどんどん遅れていき、決算時にバタつく可能性もあるでしょう。
ひとつひとつの業務をスピーディーにこなせる税理士であれば、後々焦ることなく余裕をもってスケジュールをこなせます。
税理士事務所のレスポンスの良さは日常の経理業務の速さやストレスにも左右するので、ポイントとしてチェックしてください。
自分の会社から近いエリアに事務所があるかどうかも、ポイントのひとつ。
物理的な距離が近いと急な打ち合わせやトラブルにもお互いに対応しやすく、スムーズに解決を目指せます。
また近隣の金融機関や弁護士、司法書士などの士業の紹介や事業承継・取引の拡大など企業間の架け橋となれるのもメリットです。
横浜に本社を構える企業であれば、横浜の税理士に依頼するのがよいでしょう。
話しやすい関係を築けるかどうかも、横浜で税理士を選ぶ際にはポイントです。
グループ法人税制は親会社・子会社を含めた複数の会計・税務処理を複合的に捉え、対処する必要があります。
すべてのグループ企業で適切な処理を行うためには、税理士側にとって正確な情報の収集が重要です。
また、親会社と子会社の金銭や財産の授受を考えている段階で税理士に相談すれば、より有益な手法の提案やスムーズな処理が可能です。
「相談するのはめんどうだから、決まってから話そう。」ではなく、「あの人ならもっと良い提案をしてくれるかも」と前向きに相談できる税理士を探しましょう。
より話が合い、気軽に相談できる関係の税理士がいると、複雑な会計・税務に頭を抱えず、経営に専念することができますよ。
グループ法人税制のメリットには、以下の点が挙げられます。
メリットを知ることでグループ法人ならではの強いを活かした対策ができるでしょう。
グループ法人税制では譲渡損益を繰り延べできることがメリットのひとつ。
【法人税法61条の11】
内国法人がその有する譲渡損益調整資産を他の内国法人に譲渡した場合には、当該譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額は、その譲渡した事業年度の所得の金額の計算上、損金の額又は益金の額に算入する。
※括弧書き部分は割愛しています
※令和4年4月1日の改正前は、法人税法第61条の13に該当します
上記をカンタンに要約すると、100%グループ間で一定の資産を譲渡したことで生じる譲渡損益は、譲り受けた企業がその資産を譲渡する事業年度まで繰り延べられるということです。
つまり、親会社が資産Aを子会社に譲渡した場合、子会社が資産Aを売却するまで譲渡損益は繰り延べられ、子会社は実質的に無税で資産Aを活用できることになります。
譲渡損益の繰り延べを賢く使うことで、グループ内で資産を有効活用できるでしょう。
グループ法人税制では寄付金や配当金が損金不算入となることも、メリットのひとつです。
グループ法人内で配当の受け取りや寄付が行われた場合、受け取る側は全額益金不算入に、支出する側は損金が不算入となります。
複数の法人での二重課税が回避され、資金の有効利用が可能です。
この制度により、親会社の利益を子会社にプールし、必要に応じて別の子会社への資金提供ができるという使い方ができます。
グループ法人税制には、いくつかのデメリットもあります。
強制適用になるグループ法人税制ではデメリットもしっかり理解し、税務処理に対応しなければなりません。
グループ法人税制ではたとえ子会社であっても親会社が大企業であれば大企業の扱いになる点に注意が必要です。
子会社が中小企業の規模であっても、中小企業の特例措置など税制面の優遇が受けられません。
親会社が大企業の場合、グループ法人では税負担が増加する可能性があることも覚えておきましょう。
グループ法人税制にはグループ企業内で損益通算できないというデメリットがあります。
つまり、グループ内のそれぞれの法人で出ている「欠損金額」と「利益金額」の相殺ができないということです。
一方で、グループ通算制度(連結納税制度)では、企業間損益通算が受けられます。
必要に応じて、任意適用のグループ通算制度の導入を検討するのも良いでしょう。
今回は、横浜でグループ法人税制に強い税理士の選び方をまとめました!
グループ法人税制は強制適用なので「知らなかった」、「忘れていた」といううっかりで、申告漏れが起こる可能性があります。
特に事業承継直後の決算では、注意が必要です。
また、任意適用のグループ通算制度は、自社にメリットがあるかよく見極めて導入するようにしましょう。
グループ法人税制とグループ通算制度は、それぞれが独立した異なる制度です。
グループ通算制度を適用してもグループ法人税制は適用されるので、注意してください。
響き税理士事務所では、グループ法人税制など経営計画にかかわるコンサルティングも行っています。
グループ法人を検討している、経営計画に不安があるという方はぜひ、お気軽にご相談ください。