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コラム

子会社配当金は益金不算入?持株比率による益金不算入額を解説

導入

企業グループで事業を行う場合、グループ会社から配当金を受け取るケースが多くあります。他社の株式を所有して配当金を得ることもあるでしょう。

法人税法では、株式等から得られる配当金の全部または一部を益金の額に算入しない(課税所得から除外する)制度、つまり受取配当等の益金不算入制度が規定されています。

本記事では、この制度の基本的な仕組みから、対象となる配当の種類、さらには外国子会社や持株比率による計算の違いまで、実務で押さえておくべき全体像をわかりやすく解説します。税制改正による変更点や注意点もあわせて確認していきましょう。

この記事の結論

受取配当等の益金不算入制度は、二重課税を防ぐため、受取配当の一部または全部を課税対象から除外する仕組みです。益金不算入額は持株比率に連動し、100%保有の完全子法人は全額、3分の1超の関連法人は原則として配当額の4%等を控除した額、5%超のその他の株式は50%、5%以下の非支配目的株式は20%となります。外国子会社(25%以上・6か月以上保有)からの配当は95%が益金不算入です。

基準日前後で短期売買される短期保有株式は益金不算入制度の適用外となるほか、資本の払い戻しの場合は譲渡損益とみなし配当両方の計算が必要となるケースもあるなど、形式的な比率判定だけでなく保有期間や配当原資を正確に見極めることが実務上の要諦です。

受取配当等の益金不算入制度の全体像

制度概要と益金不算入の理由

受取配当等の益金不算入制度とは、内国法人が他の法人から受ける配当金等の額について、その全額または一部を法人税の計算上益金の額に算入しない(課税所得の計算から除外する)制度です(法人税法23条)。

この制度が設けられている理由は、同一の利益に対する二重課税を排除するためです。税引後の利益を原資として他の法人へ配当を行った際、受け取った側の法人でも再び法人税を課してしまうと、一つの利益に対して二度課税されることになってしまいます。この点、財務省は次のとおり説明しています。

法人の受取配当等については、支払法人の段階で既に法人税が課税されているため、配当に対する支払段階の法人税と受取段階の法人税との税負担を受取法人の段階で調整する仕組みとして、配当を受け取る法人の段階において、その全部又は一部を益金不算入としている(後略)

出典:財務省ホームページ 法人税の益金・損金の計算に関する資料
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/c02.htm

対象となる配当金の種類

受取配当等の益金不算入制度の対象となる配当金の種類は次のとおりです(法人税法23条1項)。

  • 株式に係る剰余金の配当(一定のものは除く)
  • 利益の配当(一定のものは除く)
  • 出資に係る剰余金の分配
  • 投資信託及び投資法人に関する法律137条の金銭の分配(一定のものは除く)
  • 資産の流動化に関する法律115条1項(中間配当)に規定する金銭の分配の額

また、投資先の法人から次の事由により金銭等の交付を受けた場合において、出資額を超える範囲にかかる部分の金額は、配当とみなして受取配当等の益金不算入制度が適用されます(みなし配当。法人税法24条)。

  • 合併(適格合併を除く)
  • 分割型分割(適格分割型分割を除く)
  • 株式分配(適格株式分配を除く)
  • 資本の払い戻し(一定のものは除く)または解散による残余財産の分配
  • その他のもの

なお、受取配当等の益金不算入制度は、配当等を受ける元本である株式等を配当等にかかる基準日以前1か月以内に取得し、かつ当該株式等と同じ銘柄の株式等を基準日後2か月以内に譲渡した場合(短期保有株式等に該当する場合)における配当等のうち一定のものには適用されません(法人税法23条2項)。

たとえば、3月決算法人の株式を2026年3月16日に取得し、2026年4月10日に譲渡した場合は、当該株式から得られる配当の額は原則として益金の額に算入されます。

外国子会社から受ける配当等の益金不算入制度の全体像

制度概要

法人税法23条は内国法人から受ける配当に係る益金不算入制度を規定したものですが、法人が外国子会社から受ける配当の益金不算入制度についての規定も存在します。法人が外国子会社から配当を受ける場合、受け取った配当等の額の95%が益金不算入となり(法人税法23条の2、法人税法施行令22条の4第2項)、残りの5%が課税所得の額に算入されます。

外国子会社の定義

この制度における「外国子会社」とは、法人が外国法人の発行済株式等の25%以上を、配当等の支払義務が確定する日以前6か月以上継続して保有している場合の当該外国法人等をいいます(法人税法施行令22条の4第2項)。実務上、「25%以上」という法人税法の規定が租税条約によって上書きされていないかを確認することと、M&Aで外国法人株式を取得するケースなどにおいてうっかり継続保有要件の判定を失念したために思わぬ税負担が生じるリスクもある点にご留意ください。

配当源泉税の取り扱い

外国法人から配当を受ける際、源泉所得税が控除された金額が入金されることもあります。当該外国源泉税は、原則として損金算入、もしくは外国税額控除(法人税法69条)の規定による外国税額控除の適用を受けることができます(法人税法施行令141条2項3号、法人税基本通達16-3-4。なお、外国税額控除の適用を受ける場合は、法人税法41条1項の規定により外国法人税の額を損金算入することはできません)。

一方、外国子会社配当の益金不算入制度が適用される配当等の額に対して課される外国源泉税等の額は外国税額控除の対象とならず(法人税法施行令142条の2)、損金算入することもできません(法人税法39条の2)。外国法人から受け取る配当にかかる法人税の課税関係は次のとおりです。

配当金の支払者配当金の取り扱い外国源泉税の取り扱い
外国子会社以外配当額の全額を益金算入損金算入or外国税額控除
外国子会社配当額の5%のみ益金算入損金不算入、外国税額控除の適用も不可

持株比率による益金不算入額

概要

法人が受け取る配当等の益金不算入額は、持株比率等によって次のとおり大別されます。

株式の種類持株比率益金不算入額
完全子法人株式等100%配当等の額の全額
関連法人株式等3分の1超、100%未満配当等の額から控除負債利子を引いた金額
その他の株式等5%超、3分の1以下配当等の額の50%
非支配目的株式等5%以下配当等の額の20%
外国子会社株式等25%以上配当等の額の95%

関連法人株式等につき、「当該配当等の額から当該関連法人株式等に係る利子の額に相当するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額」が益金不算入額とされています(法人税法23条1項)。政令で定めるところにより計算した金額(この金額を「控除負債利子」といいます)の計算方法は、令和4年度税制改正によって現行の制度に改正されました。現行の制度における控除負債利子の計算方法は次のとおりです。

  • 原則は配当等の額の4%
  • 配当等の額の4%が支払利子の額の10%を上回るときは支払利子の額の10%

なお、改正前の方法は原則法と簡便法があり、特に原則法は「税務上の総資産簿価」を使うところ、この計算が実務上煩雑であったことから、令和4年度税制改正によって計算の実務負荷が大きく軽減されました。

計算における留意点

受取配当等の益金不算入額を計算する際は、単に受領した配当額に一定の割合を乗じるだけでなく、税法上の細かな制限や調整に注意が必要です。すでにこの記事でも触れたとおり、実務上特に留意すべき点としては保有期間による制限が挙げられます。配当等の計算期間を通じて引き続き保有していない「短期保有株式等」から受ける配当については、本制度の適用が除外されます(法人税法23条2項)。これは、配当の権利落ちによる株価下落を利用した株式譲渡損の計上と、配当の益金不算入を組み合わせた租税回避を防ぐための措置です。具体的には、配当等の支払に係る基準日以前1か月以内に取得し、かつ基準日後2か月以内に譲渡した株式などが対象となります。

また、配当の原資が法人の繰越利益ではなく資本(その他資本剰余金)である場合にも注意を払わなければなりません。その他資本剰余金を原資とする配当は資本の払い戻しとして取り扱われ、受け取った金額のうち出資した資本金等の払い戻し部分は株式の譲渡対価、利益積立金の減少部分はみなし配当とされます。みなし配当とされる部分の金額は配当を行う法人から通知されるため、実務上はその通知書を見てみなし配当の金額を把握します。

まとめ

受取配当等の益金不算入制度は、単純に配当金の額に率を乗じればよいものではなく、持株比率や保有期間、さらには配当の原資が資本(その他資本剰余金)であるかなどの判定を正確に行う必要があります。令和4年度の税制改正以降、関連法人株式等に係る控除負債利子の計算の実務負荷は軽減されたものの、短期保有株式の判定や外国子会社配当の取り扱いなど、依然として慎重な判断が求められる場面も多く存在します。

受取配当等の益金不算入に関する自社の処理が適切かについて不安を感じられた際は、ぜひ一度お近くの税理士にご相談ください。