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コラム

会社の福利厚生におすすめ? 非課税メリットのある『職場つみたてNISA』とは

政府は、家計の安定した資産形成を図るため、個人による投資を促進しています。
2001年には個人型確定拠出年金の『iDeCo』(※名称は2016年から)、2014年には少額投資非課税制度の『NISA』、2018年には『つみたてNISA』がスタートしました。
それぞれ少額から始められ、運用益が非課税になるなどの税金の優遇措置があるため、多くの個人投資家が加入しています。
そして、近年は従業員の資産形成を支援する目的で、『職場つみたてNISA』を導入する企業が増えてきました。
安定した資産形成のニーズが高まるなかで、注目の集まる職場つみたてNISAについて解説します。

一般NISAとつみたてNISAの違いは?

職場つみたてNISAとは、事業主が証券会社や銀行などのNISA取扱業者と契約し、希望する従業員の給与から毎月天引きした金額を特定の金融商品に投資していく福利厚生制度の一つです。
日本証券業協会によれば、職場つみたてNISAを導入した企業は8,600社を超えており、金融庁や東京都などの行政組織にも導入されています。

金融庁では、職員の資産形成を促し、投資をはじめる環境を形成することを目的に、2018年10月から職場つみたてNISAを導入しました。
この取り組みには、率先して職場つみたてNISAを導入することで、将来的には他省庁や地方自治体、民間企業にも浸透を図るという目的があります。

そもそもNISAとは、『少額投資非課税制度』という名称の通り、毎年、一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が一定期間は非課税になる税制優遇制度のことです。
通常の株式や投資信託には、売却益や受け取った配当金に対して、およそ20%の税金がかかりますが、一般NISAは年間120万円の非課税投資枠が設定されており、非課税期間は最長で5年間となっています。
また、一般NISAに対して、つみたてNISAは、年間40万円の非課税投資枠が設定されており、非課税期間は最長で20年間です。

NISAは、利用者が投資先を選び、定時定額で投資していく制度なので、長期的な投資を考えているのであれば、毎月積み立てていくつみたてNISAのほうが、投資タイミングが分散されてリスクが低くなるといわれています。
ただし、一般NISAについては、2020年度制度改正によって制度の見直しが行われ、2024年以降は、別枠の非課税投資を可能とする2階建ての制度に見直されました。
また、2023年度の制度改正においても、非課税限度額等の拡充案があるようです。

職場つみたてNISAは、つみたてNISAと一般NISAのどちらも利用することができ、どちらのNISAを利用するかは、事業主の判断で選ぶことができます。

従業員と企業にとっての職場つみたてNISAのメリット

職場つみたてNISAは、ほかの積立貯蓄などとあわせて導入されるのが一般的で、従業員は、給与から天引きされている定期積立のなかから、月に1,000円単位で自ら決めた額を職場つみたてNISAに回すことになります。

職場つみたてNISAを利用するには、事業主がNISA取扱業者と契約している必要があり、従業員はNISA取扱業者である証券会社や銀行などにNISA口座を開設したうえで、自ら選んだ株式や投資信託などの有価証券に投資していきます。

一度、口座を開設してしまえば、毎月の給与から自動的に積み立てていくことになるため、購入金額や購入のタイミングで迷うことはありません。
売却益や分配金が非課税というNISAの特徴はもちろん、普段は特に意識することなく計画的に投資を続けることができるというのが、従業員にとっては最大のメリットです。
ほかにも、少額から投資を始められる、iDeCoのような貯蓄性のある投資と違い積み立てたお金は自由に引出しできるなどのメリットもあります。

そして、企業にとっては導入コストをかけずに、福利厚生制度を導入できるというメリットがあります。
NISA取扱業者から投資に関する情報提供を受けることができるため、従業員の金融リテラシーを強化できるのも職場つみたてNISAの魅力です。

会社に職場つみたてNISAを導入するには、まず事業主がNISA取扱業者と契約を結び、従業員に対し、説明会を開催する旨を通知します。
多くのNISA取扱業者は、説明会やe-ラーニングなどで、商品説明をしてくれるため、会社側が従業員に説明する必要はありません。
その後の口座の開設や情報提供、アテンドなども、NISA取扱業者が行うことになります。

NISA取扱業者を選ぶ際には、業者ごとに、購入できる金融商品が異なるため、いざ職場つみたてNISAを導入しても購入したい商品がないということにならないように、事前に確認をしておきましょう。

また、職場つみたてNISAは少額投資非課税制度なので非課税の枠内であれば税金を納める必要がありません。経理担当は、その旨を従業員に周知しておく必要があります。